HOME / ゼロから学ぶ犯罪学 / 講座 / 第13章 犯罪予防と政策 / 地域の防犯活動と見守り

第13章 犯罪予防と政策 ・ レッスン13-2

地域の防犯活動と見守り。住民の目は犯罪を減らすのか

約5分 ・ 公開日 2026-10-05

このレッスンの問い

近所の人どうしで見回りや見守りをすると、犯罪は本当に減ると思いますか?予想してから読んでみましょう。

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン13-1から

Q1. 前のレッスンの復習です。メリーランド報告で、ある取り組みを「効く」とするために必要だった条件はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 段階3以上の研究が2件以上あり、証拠全体も効果を示すこと
報告は研究の確かさを5段階で測り、段階3以上の研究が2件以上で、証拠全体も効果を示すことを「効く」の条件にしました。

01防犯ボランティアは2016年をピークに減っている

警察が把握する防犯ボランティア団体は、2025年末で4万1,782団体です。2016年末のピークから減り続けています。

自分たちの地域を自分たちで守る住民の活動を、自主防犯活動と呼びます。警察庁は、平均して月1回以上活動し、構成員が5人以上の団体を防犯ボランティア団体として数えています。

2003年末には3,056団体でしたが、2016年末には4万8,160団体まで増えました。その後は減り、2025年末は4万1,782団体、構成員は207万4,271人です。

2025年末では、構成員の平均年代が60歳代以上の団体が約4分の3を占めます。活動で多いのは、徒歩の防犯パトロール(78.9%)と、通学路での子どもの保護・誘導(71.1%)です。

02近隣監視は犯罪の減少と結びついていた

住民が近所に目を配る近隣監視は、研究のまとめで犯罪の減少と結びついていました。

住民が近所の家や通りに目を配り、気になることがあれば警察に知らせる。この取り組みを近隣監視(ネイバーフッド・ウォッチ)と呼びます。1960年代後半のアメリカで広がりました。

持ち物に印を付ける、家の防犯診断を受けるといった取り組みと組み合わせることも多くあります。2008年、ベネット、ホロウェイ、ファリントンの3人が、その効果を系統的レビューで調べました。

比べる地域を設けた研究などを集め、12の研究をメタ分析しています。近隣監視は、犯罪がおよそ16〜26%減ることと結びついていました。数字に幅があるのは、計算の方法が2通りあるためです。

03子どもの見守りと「ながら見守り」

国は2018年の「登下校防犯プラン」で、見守りの空白地帯を埋めるため「ながら見守り」を勧めました。

このプランは、道路上で子どもが被害に遭う事件が、15〜18時の下校時間帯に集中する傾向を指摘しました。一方で、防犯ボランティアの高齢化と担い手不足、共働き家庭の増加で、見守りは難しくなっています。

その結果、自宅の近くで子どもが1人で歩く「1人区間」などに、見守りの空白地帯が生まれていると分析しました。そこで、散歩や買い物、花の水やりのついでに見守るながら見守りを勧めています。

たとえば、犬の散歩を下校の時間帯に合わせるだけでも、通学路に大人の目が1つ増えます。こうした人の目の働きは、第6章の防犯環境設計や第4章の集合的効力ともつながっています。

時点団体数構成員数
2003年末3,05617万7,831人
2006年末3万1,931197万9,465人
2016年末(団体数が最多)4万8,160272万5,437人
2025年末4万1,782207万4,271人
防犯ボランティア団体の数と構成員数の推移(警察庁、各年12月末)

あなたの場合は?

あなたがふだん歩く道で、子どもの下校の時間に大人の目が少ないと感じる場所はありますか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 防犯ボランティア団体は2016年末の4万8,160がピーク。2025年末は4万1,782団体で、担い手の高齢化が進む
  2. 近隣監視は、2008年の研究のまとめで、犯罪の約16〜26%の減少と結びついていた
  3. 見守りの空白地帯を埋めるため、日常のついでに見守る「ながら見守り」が勧められている

TERMSこのレッスンの用語

防犯ボランティア団体Crime prevention volunteer group

地域の住民などが自主的に防犯活動を行う団体。警察庁は、平均月1回以上活動し、構成員が5人以上の団体を数えている。

近隣監視(ネイバーフッド・ウォッチ)Neighbourhood watch

住民が近所の家や通りに目を配り、気になることを警察に知らせる取り組み。

ながら見守りWatching over children during daily activities

散歩や買い物、仕事などの日常の活動をしながら、防犯の視点で子どもを見守ること。

LESSON 13-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 日本の防犯ボランティア団体の数について、正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 2016年末をピークに、その後は減っている
2003年末の3,056団体から2016年末の4万8,160団体まで増え、その後は減って2025年末は4万1,782団体です。

Q2. ベネットらが2008年にまとめた近隣監視の研究で、わかったことはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 近隣監視のある地域では、犯罪の減少が見られた
12の研究をメタ分析した結果、近隣監視は犯罪のおよそ16〜26%の減少と結びついていました。

日常の場面で考える

Q3. 共働きで、平日の見守り活動に参加できない人がいます。子どもの安全に協力したいとき、登下校防犯プランの考え方にいちばん合うのはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 通勤や買い物の行き帰りに、子どもの様子に目を配る
ここがポイントです。日常の行動のついでに見守る「ながら見守り」なら、負担が小さく誰でも加われます。子どもの予定を公開するのは、かえって危険を増やします。

レッスン13-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第13章 犯罪予防と政策 のレッスン一覧
  1. 13-1エビデンスにもとづく刑事政策
  2. 13-2地域の防犯活動と見守り
  3. 13-3犯罪の国際比較

講座の目次(全14章)へ

出典(4件)
  1. 警察庁「防犯ボランティア団体の活動状況等について」(令和8年3月、令和7年末現在)
  2. 警察庁「平成19年版 警察白書」第1章 2 地域社会との連携による治安回復への取組み
  3. Bennett T., Holloway K., Farrington D. P.「The Effectiveness of Neighborhood Watch」Campbell Systematic Reviews, 2008(米国司法省 NCJRS の要旨)
  4. 登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議「登下校防犯プラン」(平成30年6月22日、文部科学省掲載)