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第1章 犯罪学とは何か ・ レッスン1-3

暗数とは何か。届けられない犯罪をどう知るか

約5分 ・ 公開日 2026-10-04

このレッスンの問い

自転車を盗まれた人のうち、警察に届けるのは何割くらいだと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン1-2から

Q1. 前のレッスンの復習です。刑法犯の認知件数が2002年から大きく減ったおもな理由として、犯罪白書が挙げたのはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 刑法犯の7割近くを占める窃盗が大きく減ったこと
減少のおもな理由は、刑法犯の7割近くを占める窃盗の減少でした。数の多い犯罪の動きが、全体の数字を左右します。

01暗数は「数えられていない犯罪」

暗数とは、実際に起きたのに警察に知られず、統計に入らない犯罪のことです。

前のレッスンで見た認知件数は、警察が知った犯罪だけの数でした。実際に起きた犯罪から、認知件数を引いた残りを暗数と呼びます。

暗数があると、統計だけでは本当の被害の量がわかりません。犯罪白書も、暗数の存在が犯罪被害の実態をつかむのを難しくしていると書いています。

02住民に直接たずねて調べる

暗数は、住民に被害の経験を直接たずねる調査で推し量ります。

法務総合研究所は、2000年から犯罪被害実態(暗数)調査を行っています。全国から無作為に選んだ16歳以上の人に、被害に遭ったか、警察に届けたかをたずねます。

調査はおおむね4年ごとに行われ、2024年が6回目でした。定期的に調べることで、認知件数と比べながら変化を追えます。

2024年の第6回調査では、6,916人が対象でした。調査員が自宅を訪ねて聞き取るほか、希望すればオンラインでも答えられました。

性的な被害など話しにくい内容は、本人が自分で記入する方式にしています。プライバシーに配慮するためです。

03届けた割合は犯罪によって大きく違う

被害を警察に届けた割合は、バイク盗では約9割、性的な被害では2割台半ばと、犯罪の種類で大きく違います。

第6回調査で、過去5年間の被害を警察などに届けた割合を見てみましょう。バイク盗は約9割、自転車盗は5割台でした。一方、暴行・脅迫は2割台、性的な被害は2割台半ばでした。

届けなかった理由では「それほど重大ではない」が多く見られました。ストーカー行為やDVでは「自分又は家族による解決」が多く、性的な被害では理由がいくつにも分かれていました。

つまり、届けにくい犯罪ほど、統計の数字は実態より小さく出やすくなります。数字を読むときは、その犯罪がどれくらい届けられやすいかも考えましょう。

被害の種類届けた割合
バイク盗約9割
自転車盗5割台
不法侵入4割台
暴行・脅迫2割台
性的な被害2割台半ば
DV1割台半ば
過去5年間の被害を警察などに届けた割合(第6回犯罪被害実態(暗数)調査、2024年実施。令和7年版犯罪白書より)

あなたの場合は?

もし小さな被害に遭ったら、あなたは警察に届けますか?届けないとしたら、その理由は何でしょう。

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 暗数=起きたのに警察に知られず、統計に入らない犯罪
  2. 暗数は、住民に被害の経験を直接たずねる調査で推し量る
  3. 届けた割合は犯罪で違う。届けにくい犯罪ほど統計は小さく出る

TERMSこのレッスンの用語

暗数Dark figure of crime

実際に起きたのに警察に知られず、認知件数に入らない犯罪。

犯罪被害実態(暗数)調査Crime victimization survey

住民に被害の経験と届け出の有無をたずね、暗数を含めた実態を調べる調査。

被害申告率Reporting rate

被害に遭った人のうち、捜査機関に届けた人の割合。

LESSON 1-3 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 暗数の説明として正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 実際に起きたのに警察に知られず、統計に入らない犯罪
暗数は、そもそも警察に知られていない犯罪です。解決できなかった事件は、警察が知っているので認知件数に入っています。

Q2. 第6回調査で、被害を警察などに届けた割合が最も高かったのはどれでしょう?

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正解: 3. バイク盗
バイク盗は約9割でした。DVは1割台半ば、性的な被害は2割台半ばで、届けにくい被害ほど割合が低くなっています。

日常の場面で考える

Q3. ある地域の統計で、DVの認知件数が他の犯罪よりずっと少なかったとします。正しい読み方はどれでしょう?

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正解: 2. DVは届けられにくいので、実際の被害は数字より多いかもしれないと考える
ここがポイントです。DVは届けた割合が低い被害でした。数字が小さくても、暗数が大きい可能性を考えて読みましょう。

レッスン1-3はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第1章 犯罪学とは何か のレッスン一覧
  1. 1-1犯罪学とは何か
  2. 1-2認知件数と犯罪白書
  3. 1-3暗数とは何か
  4. 1-4犯罪学の研究方法

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出典(4件)
  1. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第7編第4章第1節1「調査の意義」
  2. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第7編第4章第1節2「調査対象犯罪被害・調査回答者等」
  3. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第7編第4章第3節1「過去5年間の被害率・被害申告率」
  4. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第7編第4章第4節「調査の結果(被害不申告の理由)」