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第9章 少年非行 ・ レッスン9-2

少年事件の流れ。家庭裁判所は何をするのか

約5分 ・ 公開日 2026-10-04

このレッスンの問い

罪を犯した少年が家庭裁判所に送られると、多くは少年院に入ると思いますか?それとも別の終わり方が多いと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン9-1から

Q1. 前のレッスンの復習です。15歳で、家出をくり返し、親の注意も聞かないものの、まだ罪は犯していない少年。将来罪を犯すおそれがあるとされた場合、どの種類に当たるでしょう?

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正解: 3. ぐ犯少年
罪を犯していなくても、親の監督に従わないなどの事情と将来のおそれがあれば、18歳未満はぐ犯少年として家庭裁判所の審判を受けることがあります。

01まず家庭裁判所が「なぜ」を調べる

少年の事件は原則すべて家庭裁判所に送られ、家庭裁判所調査官が非行の原因と立ち直りの手がかりを調べます。

ニュースで「少年は家庭裁判所に送られた」と聞いたことはありませんか。少年法では、警察や検察が調べた少年の事件は、犯罪の疑いがあれば家庭裁判所に送られます。軽い事件でも、警察や検察の判断だけでは終わらせないしくみです。

家庭裁判所では、家庭裁判所調査官が少年や保護者と面接します。事件の内容だけでなく、家庭、友人や学校、仕事、これまでの生活歴が聞かれます。非行に至った原因を探り、再び非行をせずに立ち直る手がかりを得るためです。

少年法は、この調査に医学・心理学・教育学・社会学などの知識を生かすよう求めています(9条)。「何をしたか」だけでなく「なぜ、どうすれば」まで調べるのが特徴です。

02必要なときは少年鑑別所で調べる

審判のために必要なときは、観護措置として少年を少年鑑別所に収容し、面接や心理検査を行います。

審判を円滑に進めたり、処分を適切に決めたりするため、少年を少年鑑別所に一定期間収容することがあります。これを観護措置と呼びます。期間は原則2週間で、証人尋問などが必要な事件に限り、通算8週間まで延ばせます。

少年鑑別所は法務省の施設で、令和7年4月1日現在、全国に52庁(分所8庁を含む)あります。ここで行う面接や心理検査(鑑別)の結果は、家庭裁判所の判断に生かされます。

03審判と、4つの行き先

家庭裁判所は、審判不開始・不処分・保護処分・検察官送致のいずれかを決めます。実際には処分なしで終わる人が多数です。

調査の結果、審判を開く必要がなければ「審判不開始」です。審判は非公開で、少年に自分の非行を振り返らせるよう、和やかに行うと定められています(22条)。審判の結果、処分の必要がなければ「不処分」になります。

立ち直りに処分が必要なときは保護処分を選びます。保護観察、少年院送致、児童自立支援施設等送致の3種類です。すぐに決めにくいときは、調査官が数か月ほど様子を見る試験観察もあります。

刑事処分がふさわしいときは、事件を検察官に送ります。これを検察官送致、通称「逆送」と呼びます。16歳以上の少年が故意の犯罪行為で人を死なせた事件などは、原則として逆送されます。

令和6年の一般保護事件(交通の事件などを除く)2万7,338人では、審判不開始が49.9%、不処分が17.5%でした。保護観察は23.3%、少年院送致は6.5%、刑事処分相当の逆送は0.6%です。処分なしの場合も、裁判官や調査官が少年や保護者から話を聞き、訓戒や指導などを行います。

段階だれが何をする
1 送致警察・検察犯罪の疑いがある少年の事件を家庭裁判所に送る
2 調査家庭裁判所調査官面接で非行の原因と立ち直りの手がかりを探る
3 観護措置(必要なとき)少年鑑別所原則2週間収容し、面接や心理検査で鑑別する
4 審判裁判官非公開の場で事実を確かめ、処分を考える
5 決定家庭裁判所審判不開始・不処分・保護処分・検察官送致(逆送)のいずれか
少年事件のおおまかな流れ(14歳以上の少年が罪を犯した場合)

あなたの場合は?

あなたが家庭裁判所調査官なら、万引きをした16歳の少年に、事件のこと以外に何を聞いてみたいですか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 少年の事件は原則すべて家庭裁判所へ。調査官が原因と立ち直りの手がかりを調べる
  2. 観護措置は少年鑑別所での収容と鑑別。原則2週間、最長でも通算8週間
  3. 行き先は審判不開始・不処分・保護処分・逆送。令和6年は約3分の2が処分なし

TERMSこのレッスンの用語

観護措置Protective custody for observation

審判のために必要なとき、少年を少年鑑別所に収容するなどの措置。収容は原則2週間。

保護処分Protective measures

家庭裁判所が少年の立ち直りのために行う処分。保護観察・少年院送致・児童自立支援施設等送致の3種類。

検察官送致(逆送)Transfer to the public prosecutor

刑事処分がふさわしいとして、家庭裁判所が事件を検察官に送ること。

LESSON 9-2 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 家庭裁判所調査官の調査で、事件の内容のほかに聞かれることとして正しいものはどれでしょう?

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正解: 1. 家庭や友人、学校、これまでの生活歴
調査官は、非行の原因と立ち直りの手がかりを探るため、家庭・友人・学校・仕事・生活歴まで幅広く聞きます。

Q2. 少年法の保護処分に含まれないものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 3. 検察官送致(逆送)
惜しいところですが、ここがポイントです。逆送は保護処分ではなく、事件を検察官に送って刑事手続きに乗せる決定です。保護処分は保護観察・少年院送致・児童自立支援施設等送致の3種類です。

日常の場面で考える

Q3. 「16歳の少年が家庭裁判所に送られた」というニュースに、友人が「じゃあ少年院行きだね」と言いました。令和6年のデータから言えることはどれでしょう?

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正解: 1. 少年院送致は一般保護事件の6.5%で、審判不開始と不処分で約3分の2を占める
家庭裁判所に送られることと少年院に入ることは別です。令和6年は審判不開始49.9%、不処分17.5%で、少年院送致は6.5%でした。

レッスン9-2はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第9章 少年非行 のレッスン一覧
  1. 9-1少年法と非行少年の種類
  2. 9-2少年事件の流れ
  3. 9-3少年非行の動向

講座の目次(全14章)へ

出典(4件)
  1. 裁判所「少年事件Q&A」
  2. e-Gov法令検索「少年法」(昭和23年法律第168号)
  3. 法務省 法務総合研究所「令和7年版 犯罪白書」第3編第2章第2節2 家庭裁判所
  4. 法務省 法務総合研究所「令和7年版 犯罪白書」第3編第2章第3節1 少年鑑別所 概説