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第9章 少年非行 ・ レッスン9-3

少年非行の動向をデータで見る。少年犯罪は凶悪化しているのか

約5分 ・ 公開日 2026-10-04

このレッスンの問い

少年による犯罪は、40年前と比べて増えたと思いますか、減ったと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン9-2から

Q1. 前のレッスンの復習です。観護措置で少年を少年鑑別所に収容する期間は、原則としてどれくらいでしょう?

答えを見る

正解: 1. 2週間
観護措置の収容は原則2週間です。更新は原則1回までで、証人尋問などが必要な事件に限り、通算8週間まで延ばせます。

01長い目で見ると、少年の検挙は大きく減った

少年による刑法犯の検挙人員は、1983年の約26万人から2024年の約3万人へ、およそ9分の1に減りました。

罪を犯したとして警察などに検挙された人の数を検挙人員と呼びます。少年の数字には、14歳未満で補導された触法少年も含みます。

令和7年版犯罪白書によると、少年による刑法犯の検挙人員は1983年の26万1,634人が最多でした。2004年以降は減り続け、2021年には2万399人まで下がりました。

ただし2022年から3年続けて増え、2024年は2万9,675人でした。新型コロナが広がる前の2019年(2万6,076人)も上回っています。

02人数ではなく「割合」で比べる

子どもの数の変化を除くには、少年10万人あたりの検挙人員(少年人口比)で比べます。

少子化で少年の数そのものが減れば、検挙人員も減って見えます。そこで白書は、10歳以上の少年10万人あたりの検挙人員を使います。これを少年人口比と呼びます。

少年人口比のピークは1981年の1,432.2で、2024年は278.8でした。割合で見ても、およそ5分の1に下がっています。

一方で2024年の少年人口比は、20歳以上の人の人口比の約1.7倍です。大人より10代のほうが検挙されやすいことは、今も変わりません。

03「凶悪化している」は本当か

罪名の内訳と長い推移を見ると、少年非行の中心は窃盗で、殺人は60年前より大きく減っています。

たとえば少年の事件のニュースが何日も続くと、昔より悪くなったと感じますよね。けれども印象は、目立つ事件に引っぱられがちです。

2024年の少年の刑法犯を罪名別に見ると、約半分(51.8%)が万引きなどの窃盗でした。殺人は0.2%、強盗は1.6%です。

少年による殺人の検挙人員は、1951年と1961年の448人が最多でした。2024年は57人で、約8分の1です。

ただし強盗は、2021年の217人から2024年は472人へと2倍以上に増えました。「凶悪化」かどうかは、年と人口比をそろえて数字で確かめることが大切です。

年検挙人員少年人口比ポイント
1981年25万2,808人1,432.2人口比が最も高い
1983年26万1,634人1,413.5人数が最も多い
2021年2万399人186.5人数が最も少ない
2024年2万9,675人278.83年続けて増加
少年による刑法犯の検挙人員と少年人口比(令和7年版犯罪白書 3-1-1-1図より。少年人口比は10歳以上の少年10万人あたり)

あなたの場合は?

最近「若者の犯罪が増えている」と感じたニュースはありますか?そのとき、いつの何の数字と比べていたでしょうか。

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 少年の刑法犯の検挙人員は1983年の約26万人が最多。2024年は約3万人
  2. 子どもの数の変化は、少年10万人あたりの人口比で除いて比べる
  3. 中心は窃盗で約半分。殺人は大きく減ったが、2022年からは全体が増加

TERMSこのレッスンの用語

検挙人員Number of persons cleared (arrested)

警察などが罪を犯したとして検挙した人の数。少年の統計では触法少年の補導人員も含む。

少年人口比Juvenile arrest rate per 100,000

10歳以上の少年10万人あたりの検挙人員。少年の数の増減の影響を除いて比べるために使う。

LESSON 9-3 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 令和7年版犯罪白書で、少年による刑法犯の検挙人員が最も多かった年はどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 1983年
1983年の26万1,634人が最多でした。2024年は2万9,675人で、およそ9分の1です。

Q2. 白書が少年人口比を使う理由として、正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 少年の数そのものの増減の影響を除いて比べるため
ここがポイントです。少子化で少年が減ると、人数だけでは減って見えます。10万人あたりにそろえると、時代をまたいで比べられます。

日常の場面で考える

Q3. 友人が「最近の子どもは凶悪になった。事件のニュースばかりだ」と言いました。データで確かめるとき、いちばん役立つ見方はどれでしょう?

答えを見る

正解: 3. 何十年分の罪名別の検挙人員と人口比を比べる
惜しい選択肢もありますが、ニュースや印象は目立つ事件に引っぱられます。長い期間の罪名別の数字と人口比で見ると、殺人は大きく減った一方、近年の増加もわかります。

レッスン9-3はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第9章 少年非行 のレッスン一覧
  1. 9-1少年法と非行少年の種類
  2. 9-2少年事件の流れ
  3. 9-3少年非行の動向

講座の目次(全14章)へ

出典(3件)
  1. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第3編第1章第1節1「検挙人員」(3-1-1-1図)
  2. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第3編第1章第1節3「罪名別動向」(3-1-1-6表)
  3. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』CD-ROM資料3-3「少年による刑法犯 検挙人員(罪名別)」(Excel)