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第7章 発達・ライフコース犯罪学 ・ レッスン7-1

年齢犯罪曲線。犯罪が10代後半に多いのはなぜか

約4分 ・ 公開日 2026-10-04

このレッスンの問い

人口あたりで見ると、犯罪で検挙される人がいちばん多いのは何歳ごろだと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

01日本のデータで見る、年齢と犯罪の山

2023年の日本では、人口あたりの検挙人員は16・17歳がいちばん多く、その後は年齢とともにおおむね少なくなっていました。

年齢層ごとの人数の差をならすため、犯罪白書は「その年齢の人10万人あたり何人が検挙されたか」で比べます。これを人口比と呼びます。

2023年の刑法犯の人口比は、16・17歳が約352人で最多でした。20代は約253人、40代は約166人、70歳以上は約111人です。

年齢を横に、犯罪の多さを縦にとると、10代で急に上がり、その後ゆっくり下がる山になります。この形を年齢犯罪曲線と呼びます。

ただし、検挙の数は警察が把握した分だけです。届けられない犯罪(暗数)は入っていないことも覚えておきましょう。

02「この形はどこでも変わらない」という主張

ハーシとゴットフレッドソンは1983年に、この山の形は時代や場所を問わず同じだと主張しました。

二人は、欧米のデータでは、どこを見ても犯罪は10代後半に鋭い山をつくると論じました。そして、この形は社会の条件では説明できず、年齢そのものが直接はたらくと考えました。

これに対し、台湾・インド・韓国を調べた研究では、山がもっと遅く、なだらかな罪が多く見つかりました。2024年の韓国の研究では、暴行や詐欺の山は45〜49歳でした。

日本でも、1989年は14・15歳の人口比が約2109人で、2023年の約8倍でした。山があること自体は共通でも、高さや位置は時代と国で変わるのです。

03なぜ10代後半に多いのか

10代後半から20代にかけての周りの環境や本人の成熟の変化で、犯罪の減り方の約7割が説明できました。

たとえば中学や高校のころ、友だちと一緒だとつい羽目を外した経験はありませんか。この時期は、仲間の目が行動の基準になりやすい時期です。

2013年、アメリカのスウィーテンらは、重い非行をした若者1300人以上を7年間追った研究で、この問いを確かめました。友人関係や成熟度など40の要因の変化で、15歳から25歳への犯罪の減少の69%が説明できました。

なかでも大きかったのは、非行仲間との付き合いなど、周りから学ぶことに関わる変化でした。それでも約3割は説明できず、年齢の謎はまだ残っています。

年齢層1989年2023年
14・15歳2109275
16・17歳1453352
18・19歳565242
20〜29歳289253
30〜39歳184194
40〜49歳176166
50〜64歳117143
65〜69歳65122
70歳以上36111
刑法犯の検挙人員の人口比(その年齢の人10万人あたり、犯行時の年齢)。犯罪白書(令和6年版)の4-8-1-2図・資料3-2より、小数点以下を四捨五入

あなたの場合は?

10代のころのあなたと今のあなた。行動を決めるとき、誰の目をいちばん気にしていたかは変わりましたか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 年齢犯罪曲線は、10代で急に上がり、その後ゆっくり下がる山の形
  2. 日本の2023年の人口比は16・17歳が最多(10万人あたり約352人)
  3. 山の高さや位置は時代・国・罪の種類で変わる。理由は約7割まで説明できる

TERMSこのレッスンの用語

年齢犯罪曲線Age-crime curve

年齢ごとの犯罪の多さを表したグラフ。10代後半から20代前半に高く、その後は下がる形になることが多い。

人口比Rate per 100,000 population

その年齢層などの人口10万人あたりの検挙人員。人数の多い少ないの差をならして比べるための数字。

不変説Invariance thesis

年齢犯罪曲線の形は、時代や場所、集団を問わず同じだとする、ハーシとゴットフレッドソン(1983年)の主張。

LESSON 7-1 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 犯罪白書の数字で、2023年に刑法犯の人口比がいちばん高かった年齢層はどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 16・17歳
16・17歳が10万人あたり約352人で最多でした。年齢が上がるにつれて少なくなり、70歳以上は約111人です。

Q2. ハーシとゴットフレッドソンの1983年の主張と、その後の研究について正しいものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 二人は山の形はどこでも同じと主張したが、山が遅くなだらかな国や罪も見つかった
ここがポイントです。二人は「形は変わらない」と主張しましたが、台湾・インド・韓国などでは、山が遅くなだらかな罪が見つかりました。

日常の場面で考える

Q3. 友人が「若者は生まれつき乱暴だから、10代の犯罪が多いんだよ」と言いました。研究からいえる答えとして最も近いものはどれでしょう?

答えを見る

正解: 3. 仲間との付き合いや成熟など、周りや本人の変化で多くが説明できる
惜しい考え方ですが、ここがポイントです。15歳から25歳への犯罪の減少は、友人関係や成熟などの変化で約7割が説明できました。生まれつきだけでは片づけられません。

レッスン7-1はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第7章 発達・ライフコース犯罪学 のレッスン一覧
  1. 7-1年齢犯罪曲線
  2. 7-2青年期限定型と生涯持続型
  3. 7-3犯罪からの離脱

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出典(6件)
  1. 法務総合研究所『令和6年版 犯罪白書』第4編第8章第1節(4-8-1-2図 刑法犯 検挙人員の年齢層別人口比の推移)
  2. 法務総合研究所『令和6年版 犯罪白書』4-8-1-2図のデータ(Excel。注:「人口比」は各年齢層10万人当たりの刑法犯検挙人員)
  3. 法務総合研究所『令和6年版 犯罪白書』資料3-2 少年による刑法犯 検挙人員・人口比(年齢層別)(Excel)
  4. Lu Y.「Examining the stability and change in age-crime relation in South Korea, 1980-2019: An age-period-cohort analysis」PLoS One 19(3), e0299852, 2024(ハーシとゴットフレッドソン1983年の不変説と、その後の検証の整理。PubMed Central)
  5. Sweeten G., Piquero A. R., Steinberg L.「Age and the explanation of crime, revisited」Journal of Youth and Adolescence 42(6), 921-938, 2013(アリゾナ州立大学の書誌・要旨)
  6. アリゾナ州立大学ニュース「Age and the decline in crime」2013年4月16日(同研究の紹介)