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第2章 古典学派と実証主義 ・ レッスン2-1ベッカリーアと古典学派。罰は何のためにあるのか
約4分 ・ 公開日 2026-10-04
このレッスンの問い
悪いことをした人に罰を与えるのは、何のためだと思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
01罰の目的は、次の犯罪を防ぐこと
ベッカリーアは、罰の目的を、これから起きる犯罪を防ぐことだと考えました。
1764年、イタリアのミラノの人ベッカリーアが『犯罪と刑罰』という小さな本を出しました。この本は拷問や秘密の告発、死刑に反対し、すぐに英語やフランス語に訳されました。
ベッカリーアによれば、罰は人を苦しめるためのものではありません。起きてしまった犯罪を、なかったことにもできません。
罰の目的は、これからの犯罪を防ぐことです。罪を犯した本人がまた社会を傷つけないようにし、ほかの人が同じ罪を犯さないようにします。
今の言葉では、本人に向けた予防を特別予防、ほかの人に向けた予防を一般予防と呼びます。
02よい罰は、決まっていて、つり合っていて、すぐ
罰は法律で前もって決め、罪とつり合い、必要な最小限で、すぐに科すべきだと考えました。
本の結論で、ベッカリーアは罰の条件を並べました。公開で、すぐに、必要なものとして科すこと。できるだけ軽く、罪とつり合い、法律で決められていることです。
罪とつり合うとは、軽い罪には軽い罰、重い罪には重い罰ということです。この条件を欠くと、罰は暴力と変わらなくなると彼は書いています。
罰をすぐに科す理由もあります。罪と罰の間が短いほど、人の心の中で「罪を犯せば罰がある」と結びつきやすいからです。
03重さより、確かさ
ベッカリーアは、罰を重くするより、罪を犯せば必ず罰を受けることのほうが犯罪を防ぐと考えました。
土台にあるのは、人は得と損を考えて行動するという前提です。この前提に立ち、明確でつり合った罰で犯罪を防ごうとする考え方を古典学派と呼びます。
駐車違反で考えてみましょう。罰金が2倍でも、取り締まりのない道では違反は減りにくいはずだ、というのが彼の考え方です。毎日見回りがある道なら、罰金が安くても多くの人が守るでしょう。
残酷な罰が続くと人の心はかえって慣れて鈍くなる、とも彼は書きました。この考えが研究で確かめられたのかは、この章の「抑止の研究」のレッスンで見ます。
| 条件 | 意味 |
|---|---|
| 法律で決める | 何が罪で、どんな罰かを前もって法律で定める |
| つり合い | 罪の重さに合った罰にする |
| 最小限 | 犯罪を防ぐのに必要な分だけにする |
| すぐに | 罪を犯したあと、間をあけずに科す |
| 確かに | 罪を犯せば必ず罰を受けるようにする |
あなたの場合は?
あなたが毎日守っているルールは、罰が重いから守っていますか?それとも、破ればすぐ見つかるからですか?
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- 罰の目的は、これからの犯罪を防ぐこと(ベッカリーア、1764年)
- よい罰は、法律で決まり、罪とつり合い、最小限で、すぐに科す
- 古典学派は、罰の重さより確かさが犯罪を防ぐと考えた
TERMSこのレッスンの用語
古典学派とは、人は得と損を考えて行動するという前提に立ち、明確でつり合った刑罰によって犯罪を防ごうとした、18世紀の犯罪と刑罰の考え方のことです。
一般予防とは、罪を犯した人を罰することで、社会のほかの人々が罪を犯さないようにする、刑罰の働きのことです。
特別予防とは、罪を犯した本人が、ふたたび罪を犯さないようにする、刑罰の働きのことです。
LESSON 2-1 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. ベッカリーアが考えた罰の目的はどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 本人とほかの人が、これから罪を犯さないようにすること
罰は人を苦しめるためでも、犯罪をなかったことにするためでもない。これからの犯罪を防ぐためだ、というのがベッカリーアの考えでした。
Q2. ベッカリーアの考えで、犯罪を防ぐのにより効くとされたのはどれでしょう?
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正解: 2. 罪を犯せば必ず罰を受けること
ここがポイントです。彼は罰の重さより確かさを重視し、罰は罪のすぐあとに科すべきだと考えました。
Q3. ある町で万引きが増えました。ベッカリーアの考えにいちばん近い対策はどれでしょう?
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正解: 3. 万引きが見つかる仕組みを整え、見つかれば必ず決まった対応をとる
惜しい選択もありますが、ここがポイントです。彼は重さより確かさを重視し、罰は法律で前もって決めるべきだと考えました。
出典(6件)
- Beccaria C.『Of Crimes and Punishments』第12章 Of the Intent of Punishments(英訳本文、テキサス大学オースティン校)
- 同 第19章 Of the Advantage of immediate Punishment
- 同 第27章 Of the Mildness of Punishments
- 同 結論(Conclusion)
- National Constitution Center「Cesare Bonesana di Beccaria, On Crimes and Punishments (1764)」
- 中村悠人「刑罰の正当化根拠に関する一考察(1)」立命館法学 2012年1号(341号)