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第4章 社会学の理論(1)地域・緊張・学習 ・ レッスン4-1

シカゴ学派と社会解体。なぜ特定の地域で犯罪が続くのか

約4分 ・ 公開日 2026-10-04

このレッスンの問い

非行の多い地域から住民がそっくり入れ替わったら、非行は減ると思いますか?予想してから読んでみましょう。

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

01非行は町の中心に近いほど多かった

ショウとマッケイは、シカゴの非行が中心に近い地域ほど多く、外側ほど少ないことを地図で示しました。

1920年代、シカゴ大学の社会学者たちは、都市そのものを研究の対象にしました。この流れをシカゴ学派と呼びます。

その一人バージェスは1925年、都市は中心から外へ5つの輪のように広がると考えました。これを同心円地帯理論と呼びます。

ショウとマッケイは、裁判所に送られた10〜16歳の男子の住所を地図に落としました。1900〜1906年、1917〜1923年、1927〜1933年の3つの時期を調べています。

02住む人が入れ替わっても、非行の多さは続いた

どの出身の人々が住んでも、同じ地域では非行の多さがほぼ変わりませんでした。

非行が最も多かったのは、商業地区のすぐ外側の移行地帯です。貧しさ、住民の出入りの多さ、さまざまな出身の人が混じることが重なっていました。

この地域には次々と新しい移民が住み、豊かになると外側へ移っていきました。それでも非行の多さは、数十年にわたり大きく変わりませんでした。

そこで2人は1942年の本で、原因は住む人ではなく地域にあると考えました。地域が共通の価値を実現できず、住民どうしで行動を見守り正す力が弱まる。これを社会解体と呼びます。

03近所のつながりが暴力を減らす

サンプソンらは1997年、近所の結びつきと見守る意思が強い地域ほど暴力が少ないと示しました。

サンプソンらは1995年、シカゴの343の地域で8782人の住民に調査しました。子どもが学校をさぼってたむろしていたら、近所の人が注意しそうかなどをたずねています。

近所の信頼と、みんなのために動く意思を合わせて集合的効力と呼びます。以前の暴力の多さなどをそろえても、集合的効力が高い地域ほど暴力は少なくなっていました。

貧しさや住民の入れ替わりと暴力との関係も、その多くは集合的効力の弱さで説明できました。なお1950年以降のシカゴでは、地域の変化に伴い非行率も変わることが、後の研究で示されています。

地域中心からの位置非行の多さ
移行地帯中心の商業地区のすぐ外側最も多い
中間の地帯移行地帯と通勤者地帯のあいだ外へ行くほど少なくなる
通勤者地帯いちばん外側(郊外)少ない
ショウとマッケイが見た、シカゴの地域と非行の多さ(1942年の研究)

あなたの場合は?

あなたの住む地域で、子どもが壁に落書きをしていたら、近所の誰かが声をかけそうですか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. シカゴの非行は中心に近い移行地帯で多く、外側ほど少なかった
  2. 住民が入れ替わっても非行の多さは続いた。原因は人より地域(社会解体)
  3. 集合的効力(近所の信頼+見守る意思)が高い地域ほど暴力は少ない

TERMSこのレッスンの用語

同心円地帯理論Concentric zone theory

都市は中心の商業地区から外へ、輪のような5つの地帯に分かれて広がるという考え方。

社会解体Social disorganization

地域が共通の価値を実現できず、住民どうしで行動を見守り正す力が弱まった状態。

集合的効力Collective efficacy

近所の人どうしの信頼と、地域のために行動しようとする意思を合わせたもの。

LESSON 4-1 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. ショウとマッケイの研究で、非行が最も多かったのはどこでしょう?

答えを見る

正解: 2. 中心の商業地区のすぐ外側の移行地帯
移行地帯です。貧しさや住民の出入りの多さが重なる地域で、そこから外へ行くほど非行は少なくなっていました。

Q2. 住民の出身が入れ替わっても非行の多さが続いたことから、2人はどう考えたでしょう?

答えを見る

正解: 1. 非行の原因は、住む人より地域のありかたにある
ここがポイントです。誰が住んでも同じ地域で非行が多かったので、原因は人ではなく地域のつながりの弱さ(社会解体)にあると考えました。

日常の場面で考える

Q3. ある町で防犯対策を考えています。サンプソンらの研究にいちばん合う取り組みはどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 住民どうしが顔見知りになり、子どもを見守り合う関係をつくる
惜しい選択をした人も、ここで確かめましょう。近所の信頼と見守る意思(集合的効力)が高い地域ほど、暴力が少なかったのです。

レッスン4-1はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第4章 社会学の理論(1)地域・緊張・学習 のレッスン一覧
  1. 4-1シカゴ学派と社会解体
  2. 4-2緊張理論
  3. 4-3分化的接触理論

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出典(4件)
  1. Wong C.「Clifford R. Shaw and Henry D. McKay: The Social Disorganization Theory」CSISS Classics, UC Santa Barbara, 2002(eScholarship)
  2. Roh S., Choo T. M.「Looking Inside Zone V: Testing Social Disorganization Theory in Suburban Areas」Western Criminology Review 9(1), 2008
  3. Sampson R. J., Raudenbush S. W., Earls F.「Neighborhoods and violent crime: a multilevel study of collective efficacy」Science 277, 1997(PubMed)
  4. 米国司法省 NCJRS「Neighborhood Collective Efficacy -- Does It Help Reduce Violence?」NIJ Research Preview, 1998