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第4章 社会学の理論(1)地域・緊張・学習 ・ レッスン4-3

分化的接触理論。犯罪は周りから学ばれるのか

約5分 ・ 公開日 2026-10-04

このレッスンの問い

非行をする少年には、非行をする友達が多いと言われます。これは、友達から悪いことを学んだからだと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン4-2から

Q1. 前のレッスンの復習です。マートンが、どの社会でもいちばん多いとした対応はどれでしょう?

答えを見る

正解: 2. 同調
目標も正当な手段も受け入れる「同調」が、いちばん多い対応でした。逃避主義はいちばん少ないとされています。

01犯罪は、ほかの行動と同じように学ばれる

サザーランドは、犯罪は生まれつきではなく、親しい人との交流の中で学ばれると考えました。

サザーランドはこの考えを1939年に発表し、1947年に9つの命題の形にまとめました。最初の命題は「犯罪行動は学習される」です。

学ぶ相手は、おもに家族や友人などの親しい集団です。学ぶ中身は、犯罪のやり方と、それを正当化する動機や考え方の2つです。

法を破ってよいという考え方に、法を守るべきだという考え方より多くふれると、人は非行に向かう。これを分化的接触理論と呼びます。

影響の強さは、接する回数・続く長さ・人生での早さ・親しさで変わるとされます。

02エイカーズは「どう学ぶか」を加えた

エイカーズらは、ほめられる・まねるといった学ぶしくみを加え、社会的学習理論に発展させました。

1966年、バージェスとエイカーズは、行動の結果によって学ぶしくみを理論に取り入れました。これが、のちの社会的学習理論です。

この理論は、学ぶしくみを4つに分けます。法を破ってよいという考え方にふれること、自分自身の考え方、ほめられるか罰されるかの差し引き、人の行動をまねること、です。

たとえば仲間うちで、悪ふざけが「すごい」とほめられたとします。その行動は、くり返されやすくなります。

03「悪い友達のせい」だけでは説明できない

友達と非行が似るのは、友達から学ぶ影響と、似た者同士が集まる選択の両方が働くためです。

非行をする少年に非行をする友達が多いことは、多くの研究で確かめられています。ただ、その理由は1つではありません。

1950年のグリュック夫妻の研究では、非行は非行仲間と友達になる前に始まっていました。似た行動の人を友達に選ぶという向きもあるのです。

2015年のオズグッドらの研究は、アメリカの26学区で6〜9年生の友人関係を5回調べました。非行・飲酒・喫煙のすべてで、友達からの影響と、似た者同士を選ぶ動きの両方が見られました。

ゲーム好きの子どうしが仲良くなり、一緒に遊んでさらに好きになるのと似ています。2つの流れが重なり合っているのです。

説明向き考え方
影響(学習)友達 → 本人友達から、やり方や考え方を学ぶ
選択(似た者同士)本人 → 友達もともと似た行動の人を友達に選ぶ
研究の結果両方向影響と選択の両方が働いている
友達と非行が似る理由。2つの向き

あなたの場合は?

あなたの今の習慣や口ぐせで、身近な人から学んだと思うものはありますか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 犯罪のやり方も考え方も、親しい人との交流の中で学ばれる(サザーランド)
  2. エイカーズは、ほめられる・まねるなど「どう学ぶか」を加えた
  3. 友達と非行が似るのは、友達の影響と「似た者同士が集まる」の両方

TERMSこのレッスンの用語

分化的接触理論Differential association theory

犯罪のやり方や、法を破ってよいとする考え方は、親しい人との交流の中で学ばれるとする理論。

社会的学習理論Social learning theory

分化的接触理論に、ほめられる・罰される・まねるといった学ぶしくみを加えた理論。

分化強化Differential reinforcement

ある行動でほめられるか罰されるかの差し引きによって、その行動が増えたり減ったりすること。

LESSON 4-3 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. サザーランドの分化的接触理論の考え方に合うものはどれでしょう?

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正解: 2. 犯罪行動は、親しい人との交流の中で学ばれる
最初の命題は「犯罪行動は学習される」でした。やり方も、正当化する考え方も、親しい集団の中で学ばれるとしました。

Q2. エイカーズらが分化的接触理論に加えたものはどれでしょう?

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正解: 1. ほめられる・まねるといった、学ぶしくみ
ここがポイントです。サザーランドの考えに、行動の結果やまねることで学ぶしくみを加えたのが社会的学習理論です。

日常の場面で考える

Q3. 中学生の子が非行仲間と付き合いはじめ、非行が増えました。親は「全部あの友達のせい」と言います。研究にもとづく見方に近いのはどれでしょう?

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正解: 3. 友達の影響もありうるが、似た者同士が集まった面もある
惜しい選択をした人も、ここで確かめましょう。研究では、友達からの影響と、似た者同士を選ぶ動きの両方が見られています。

レッスン4-3はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第4章 社会学の理論(1)地域・緊張・学習 のレッスン一覧
  1. 4-1シカゴ学派と社会解体
  2. 4-2緊張理論
  3. 4-3分化的接触理論

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出典(4件)
  1. Burke A. S. ほか「Introduction to the American Criminal Justice System」5.10 Learning Theories(Open Oregon、LibreTexts、CC BY-SA 4.0)
  2. Boman J. H. ほか「The “Other Side of The Fence”: A Learning- and Control-Based Investigation of the Relationship Between Deviance and Friendship Quality」Deviant Behavior, 2019(PubMed Central)
  3. Ragan D. T.「Revisiting “What They Think”: Adolescent Drinking and the Importance of Peer Beliefs」Criminology, 2014(PubMed Central)
  4. Osgood D. W., Feinberg M. E., Ragan D. T.「Social Networks and the Diffusion of Adolescent Problem Behavior」Prevention Science, 2015(PubMed Central)