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第10章 日本の刑事司法の流れ ・ レッスン10-1

捜査と検挙。警察と検察の役割

約5分 ・ 公開日 2026-10-04

このレッスンの問い

ニュースで「逮捕された」と聞いた人は、そのまま何か月も警察に留め置かれると思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

01捜査はまず警察、起訴を決めるのは検察官

犯罪の捜査は主に警察が行い、裁判にかけるかどうかを決めるのは原則として検察官です。

刑事訴訟法は、警察官などの司法警察職員が、犯罪があると考えるときは犯人と証拠を捜査すると定めています(189条)。検察庁も、事件が起きたとき最初に捜査するのは警察だと説明しています。

検察官は、必要と認めれば自ら捜査でき(191条)、警察を指揮して足りない点を調べさせることもあります。裁判にかける(起訴する)かどうかを決める権限は、原則として検察官だけにあります。

警察が捜査した事件は、書類や証拠とともに検察官に送るのが原則です(246条)。これを送致と呼びます。

例外は、検察官があらかじめ指定した特に軽い事件を、警察が送らずに終える「微罪処分」です。令和6年は4万7,982人がこの扱いでした(令和7年版犯罪白書)。

02逮捕と勾留には時間の上限がある

逮捕から送致まで48時間、勾留の請求まで24時間、勾留は原則10日で延長も10日までと、法律で上限が決まっています。

人の自由を奪う手続きなので、時間の上限が細かく決められています。警察は、逮捕した人の身体を拘束した時から48時間以内に、検察官へ送る手続きをします(203条)。留置の必要がなければ、すぐに釈放します。

受け取った検察官は24時間以内に、裁判官に勾留を請求するかを決めます(205条)。勾留とは、逮捕に続けて身体の拘束を続けることです。ここまでで、拘束の時から72時間を超えられません。

勾留を請求した日から10日以内に起訴しなければ、検察官はすぐに釈放します(208条)。やむを得ない理由があれば延長できますが、延長は通算10日までです。一部の重い罪を除き、起訴前の拘束は最長でおよそ23日です。

03逮捕されない事件のほうが多い

令和6年に検察庁が扱った被疑者のうち、6割を超える人は逮捕されないまま手続きが進みました。

手続きには、身体を拘束して進める「身柄事件」と、拘束しないで進める「在宅事件」があります。どちらにするかは、事件の重さや、逃げたり証拠を隠したりするおそれから判断します。

たとえば軽い事件で住まいや仕事がはっきりしていれば、自宅から呼び出しに応じて取り調べを受ける形で進むことがあります。逮捕は、罰ではなく捜査のための手段です。

令和7年版犯罪白書によると、令和6年に検察庁が処理した被疑者は29万1,555人でした(過失運転致死傷等と道路交通法違反を除く)。そのうち逮捕されなかった人は18万5,011人で、約63%にあたります。身柄事件の割合は34.6%で、その94.8%について検察官が勾留を請求しました。

段階だれが時間の上限条文
1 逮捕から送致警察身体を拘束した時から48時間以内203条
2 勾留の請求検察官受け取ってから24時間以内(拘束から72時間まで)205条
3 勾留裁判官が認める請求した日から10日以内に起訴しなければ釈放208条1項
4 勾留の延長裁判官が認めるやむを得ない理由があるとき、通算10日まで208条2項
5 起訴するか決める検察官勾留の期間内に決める(次のレッスン)247条・248条
逮捕から起訴までの時間の上限(刑事訴訟法、司法警察職員が逮捕した場合)

あなたの場合は?

「逮捕された」というニュースを見たとき、あなたはその人をもう犯人だと決めつけていませんか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 捜査はまず警察。起訴するかを決めるのは原則として検察官
  2. 時間の上限は48時間、24時間、勾留10日と延長10日
  3. 令和6年、被疑者の6割を超える人は逮捕されずに手続きが進んだ

TERMSこのレッスンの用語

送致Referral of a case to the public prosecutor

警察などが捜査した事件を、書類や証拠とともに検察官に送ること。

勾留Pre-indictment detention

逮捕に続けて、裁判官が認めて被疑者の身体の拘束を続けること。起訴前は原則10日、延長は通算10日まで。

微罪処分Disposition of minor offenses

検察官があらかじめ指定した特に軽い事件について、警察が検察官に送らずに手続きを終えること。

LESSON 10-1 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 起訴前の勾留は、延長を含めて原則として最長何日でしょう?

答えを見る

正解: 2. 20日
勾留は請求した日から10日で、やむを得ない理由があれば通算10日まで延長できます。合わせて20日です。

Q2. 事件を裁判にかける(起訴する)かどうかを決める権限は、原則としてだれにあるでしょう?

答えを見る

正解: 3. 検察官
捜査の中心は警察ですが、起訴するかどうかを決める権限は原則として検察官だけにあります。ここがポイントです。

日常の場面で考える

Q3. 「警察は容疑者を逮捕し、翌日に検察庁へ送った」というニュースがありました。正しい見方はどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 48時間以内に送るという決まりに沿った流れ
惜しい見方もありますが、警察は拘束から48時間以内に検察官へ送る手続きをする決まりです。翌日なら期限の内側で、起訴を決めるのは検察官です。

レッスン10-1はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第10章 日本の刑事司法の流れ のレッスン一覧
  1. 10-1捜査と検挙
  2. 10-2起訴と不起訴
  3. 10-3刑事裁判と裁判員制度

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出典(6件)
  1. 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)189条・191条・203条・205条・208条・246条・247条(e-Gov法令検索)
  2. 検察庁「警察との違い」
  3. 検察庁「刑事事件の手続について」
  4. 検察庁「逮捕から起訴まで」
  5. 法務省「令和7年版 犯罪白書」第2編第2章第1節 概説(微罪処分)
  6. 法務省「令和7年版 犯罪白書」第2編第2章第3節 被疑者の逮捕と勾留(2-2-3-1図・2-2-3-2表)