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第11章 刑罰・更生・再犯防止 ・ レッスン11-3

仮釈放と保護観察。社会の中での立ち直り

約5分 ・ 公開日 2026-10-04

このレッスンの問い

刑務所を出た人が、住む家も仕事もないまま社会に戻ったら。どんなことに困ると思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン11-2から

Q1. 前のレッスンの復習です。刑務所で、薬物依存や性犯罪など特定の問題を持つ人に向けて行う指導を何と呼ぶでしょう?

答えを見る

正解: 1. 特別改善指導
特別改善指導でした。薬物依存離脱指導や性犯罪再犯防止指導などがあり、再犯につながる問題の改善を図ります。

01仮釈放は、刑期の途中で条件付きで社会に戻す制度

仮釈放とは、刑期が終わる前に条件付きで刑務所から出し、残りの期間を社会の中で見守る制度です。

刑法28条は、反省の様子(改悛の状)があれば仮に釈放できると定めています。有期刑は刑期の3分の1、無期刑は10年がたつことが条件です。ただし、期間を過ぎれば自動で出られるわけではありません。

許すかどうかを決めるのは、裁判所でも刑務所でもなく、地方更生保護委員会です。高等裁判所の区域ごとに全国8か所にあり、3人以上の委員が話し合って決めます。立ち直る意欲があり、再び罪を犯すおそれがないかなどを審理します。

令和7年版犯罪白書によると、2024年に刑務所を出た人のうち、仮釈放で出た人の割合(仮釈放率)は62.8%でした。仮釈放の期間中は、必ず保護観察を受けます。

02国の専門家と地域のボランティアが協力する

保護観察は、国家公務員の保護観察官と、地域の民間ボランティアである保護司が協力して行います。

保護観察官は、全国の保護観察所で働く国の職員です。更生保護の専門知識をもとに、一人ひとりの保護観察を計画し、実施します。

保護司は、法務大臣から委嘱される民間のボランティアです。身分は非常勤の国家公務員ですが、給与は出ません。2025年1月1日現在で4万6,043人いて、法律の上限の5万2,500人を下回り、減る傾向にあります。

保護司は地域の事情に詳しいことを生かし、面接を重ねて生活の相談にのります。仕事探しの手伝いや、刑務所から戻る前の住まいの調整も行います。

03守る約束と、帰る場所

保護観察中は遵守事項という約束を守り、帰る家がない人は更生保護施設などで暮らしを立て直します。

遵守事項には、全員に共通する一般遵守事項と、一人ひとりに合わせて決める特別遵守事項があります。一般遵守事項は、面接に応じることや、住む場所を届け出ることなどです。

特別遵守事項では、犯罪につながる人との付き合いや、過度の飲酒を禁じることがあります。お酒をやめたい人が、まず飲み会の誘いを断るのと似ていますね。仮釈放中に遵守事項を守らないと、仮釈放が取り消されることがあります。

帰る家や頼れる家族がない人のためには、民間の更生保護施設があります。2025年4月1日現在で全国に102施設あり、住まいと食事のほか、仕事探しの支援や生活指導を行います。

だれどんな人・機関おもな役割
地方更生保護委員会全国8か所の、委員の合議で決める機関仮釈放を許すかどうかを決める
保護観察官保護観察所で働く国の職員専門知識をもとに保護観察を計画し、実施する
保護司民間のボランティア(4万6,043人)面接を重ね、生活や仕事の相談にのる
更生保護施設民間の施設(全国102施設)住まいと食事を出し、自立を支える
仮釈放から社会での立ち直りまでに関わる人と機関(数は令和7年版犯罪白書・法務省による)

あなたの場合は?

もし刑務所から戻った人が近所で暮らし始めたら。その人が立ち直るには、どんな支えがいちばん大切だと思いますか?

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. 仮釈放は刑期の途中で条件付きで社会に戻す制度。決めるのは地方更生保護委員会
  2. 保護観察は、国の保護観察官と民間ボランティアの保護司が協力して行う
  3. 遵守事項という約束を守る。帰る家がない人は更生保護施設で暮らしを立て直す

TERMSこのレッスンの用語

保護司Volunteer probation officer

法務大臣から委嘱され、保護観察官と協力して立ち直りを支える民間のボランティア。給与は出ない。

遵守事項Conditions of probation/parole

保護観察中に守らなければならない約束。全員共通の一般遵守事項と、個別の特別遵守事項がある。

更生保護施設Offender rehabilitation facility

帰る家がない人などに、住まいと食事を提供し、自立を支える民間の施設。

LESSON 11-3 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 刑法28条によると、有期刑の人が仮釈放されうるのは、刑期のどれだけがたった後でしょう?

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正解: 1. 刑期の3分の1
有期刑は刑期の3分の1、無期刑は10年がたった後です。ただし、その時点で自動的に出られるわけではなく、地方更生保護委員会が審理して決めます。

Q2. 保護司について正しいものはどれでしょう?

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正解: 2. 法務大臣から委嘱される民間のボランティアで、給与は出ない
保護司は非常勤の国家公務員とされますが、実質は民間のボランティアで、給与は出ません。2025年1月1日現在で4万6,043人です。

日常の場面で考える

Q3. 仮釈放中のAさんは、お酒に酔って事件を起こしていました。Aさんだけに「過度の飲酒をしない」という約束が決められたとき、これは何と呼ばれるでしょう?

答えを見る

正解: 2. 特別遵守事項
惜しい選択肢もありますが、ここがポイントです。全員共通なのが一般遵守事項、一人ひとりの事情に合わせて決めるのが特別遵守事項です。保護処分は少年事件の処分でした。

レッスン11-3はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第11章 刑罰・更生・再犯防止 のレッスン一覧
  1. 11-1刑罰の種類
  2. 11-2刑務所の中の処遇
  3. 11-3仮釈放と保護観察
  4. 11-4再犯防止

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出典(9件)
  1. 刑法 第28条(仮釈放)・第29条(仮釈放の取消し等)(e-Gov法令検索)
  2. 更生保護法 第16条・第39条・第50条・第51条(e-Gov法令検索)
  3. 保護司法 第2条・第11条(e-Gov法令検索)
  4. 法務省「令和7年版 犯罪白書」第2編第5章第1節2 更生保護の機関
  5. 法務省「令和7年版 犯罪白書」第2編第5章第2節1 仮釈放等
  6. 法務省「令和7年版 犯罪白書」第2編第5章第6節1 保護司
  7. 法務省「令和7年版 犯罪白書」第2編第5章第6節2 更生保護施設
  8. 法務省 保護局「保護司、保護司組織(保護司会、保護司会連合会)」
  9. 法務省 保護局「更生保護施設・自立準備ホーム」