HOME / ゼロから学ぶ犯罪学 / 講座 / 第11章 刑罰・更生・再犯防止 / 刑務所の中の処遇
第11章 刑罰・更生・再犯防止 ・ レッスン11-2刑務所の中の処遇。立ち直りのための指導
約5分 ・ 公開日 2026-10-04
このレッスンの問い
刑務所に入った人は、毎日なにをして過ごしていると思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
前のレッスンの復習(1問)
本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。
Q1. 前のレッスンの復習です。2025年6月1日に創設された拘禁刑の特徴として正しいものはどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 改善更生のために、作業や指導を一人一人に合わせて行える刑
拘禁刑は、懲役と禁錮をまとめた刑です。改善更生のために必要な作業や指導を、一人一人に合わせて組み合わせられます。
01処遇の柱は、作業・改善指導・教科指導
刑務所の中の処遇は、作業・改善指導・教科指導の3つを柱に、立ち直りを目指して行われます。
刑務所での生活のルールは、刑事収容施設法という法律(2005年制定)に書かれています。この法律は処遇の目的を、本人の自覚に訴え、立ち直る意欲と社会で暮らす力を育てることだと定めています(第30条)。
その中心が、矯正処遇です。法律は、作業(第93条)、改善指導(第103条)、教科指導(第104条)の3つを挙げています(第84条)。
どの指導をどう行うかは、入所後の調べに基づき、一人ずつ「処遇要領」という計画にまとめられます。
02問題に合わせた特別改善指導
改善指導には全員向けの一般改善指導と、薬物や性犯罪など特定の問題に向けた特別改善指導があります。
一般改善指導では、被害者の気持ちを理解することや、規則正しい生活習慣、社会に戻る準備などを学びます。
これに対し、再犯につながる特定の問題を抱える人には、特別改善指導を行います。たとえば薬物依存離脱指導は、薬物に頼った自分の問題を理解し、再び使わない方法を考えます。
令和7年版犯罪白書によると、2024年度にこの指導を始めた人は6,826人でした。性犯罪再犯防止指導は544人で、考え方の偏りに気づき、再犯しない方法を身につけます。
教科指導は、学校の勉強にあたる指導です。松本少年刑務所には公立中学校の分校があり、1955年度から2024年度までに781人が卒業しました。
03拘禁刑で、一人ひとりに合わせた処遇へ
2025年6月の拘禁刑の導入で、全員に同じ作業をさせる形から、作業と指導を組み合わせる形に変わりました。
以前の懲役では作業が刑の中心で、全員が一定の時間を作業に使う必要がありました。そのため、指導や福祉の支援が必要な人に、十分な時間をとりにくいことがありました。
2025年6月1日から懲役と禁錮は拘禁刑にまとめられ、作業と指導を柔軟に組み合わせられるようになりました。刑の種類そのものは、前のレッスンで学んだとおりです。
あわせて、年齢や心身の状態、立ち直りの妨げとなる事情ごとに、矯正処遇課程が24種類つくられました。一人に1つ、最も必要な課程を指定し、それを中心に処遇します。
| 柱 | 目的 | 例 |
|---|---|---|
| 作業(第93条) | 働く意欲を高め、仕事に役立つ知識や技能を身につける | 職業訓練、基礎的作業 |
| 改善指導(第103条) | 罪の責任を自覚し、社会で暮らす態度を身につける | 一般改善指導、薬物依存離脱指導、性犯罪再犯防止指導 |
| 教科指導(第104条) | 社会生活の基礎となる学力をつける | 中学校の分校、高卒認定試験に向けた指導 |
あなたの場合は?
苦手な科目を克服したいとき、全員と同じ問題集を解くのと、自分の弱点に合わせたメニューで学ぶのと、どちらが身につくと思いますか?
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- 矯正処遇の3本柱は、作業・改善指導・教科指導(刑事収容施設法)
- 特別改善指導は、薬物依存や性犯罪など、再犯につながる問題に合わせた指導
- 2025年6月の拘禁刑導入で、作業と指導を組み合わせる個別の処遇へ
TERMSこのレッスンの用語
刑務所で受刑者の立ち直りのために行う、作業・改善指導・教科指導のこと。
薬物依存や性犯罪など、立ち直りの妨げとなる特定の問題を持つ受刑者に、その問題の改善を図る指導。
拘禁刑の導入で設けられた、受刑者の特性の類型ごとに重点的な処遇内容を定めた24の課程。
LESSON 11-2 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. 刑事収容施設法が定める矯正処遇の3つの柱として正しい組み合わせはどれでしょう?
答えを見る
正解: 1. 作業・改善指導・教科指導
法律(第84条)は、作業・改善指導・教科指導の3つを矯正処遇としています。保護観察や仮釈放は、刑務所の外での立ち直りにかかわる制度です。
Q2. 2025年6月の拘禁刑の導入で、刑務所の処遇はどう変わったでしょう?
答えを見る
正解: 3. 作業と指導を、一人ひとりに合わせて組み合わせられるようになった
ここがポイントです。懲役では作業が中心でしたが、拘禁刑では作業と指導を柔軟に組み合わせられます。24の矯正処遇課程から最も必要な1つを指定します。
Q3. 覚醒剤の使用で刑務所に入ったAさん。立ち直りのために、特に受けることになりそうな指導はどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 薬物依存離脱指導
惜しい選択肢もありますが、Aさんの問題は薬物への依存です。特別改善指導の薬物依存離脱指導で、薬物に頼った自分の問題を理解し、再び使わない方法を考えます。