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第12章 犯罪の種類を知る ・ レッスン12-2暴力犯罪。殺人と傷害の動向
約5分 ・ 公開日 2026-10-05
このレッスンの問い
殺人事件の被害者と加害者。見知らぬ人どうしと、家族どうし。どちらが多いと思いますか?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
前のレッスンの復習(1問)
本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。
Q1. 前のレッスンの復習です。2024年の窃盗の検挙率が最も低かった態様はどれでしょう?
答えを見る
正解: 2. 乗り物盗
乗り物盗の検挙率は8.6%で、侵入窃盗の57.8%と比べて大きく低い数字でした。態様によって、検挙のされやすさも大きく違います。
被害に遭ったときの相談先
この講座は学習用で、個別の相談の代わりにはなりません。被害に遭ったときは、一人で抱え込まずに公的な相談窓口を利用できます。いま危険が迫っているときは110番に通報してください。
- 警察相談専用電話 #9110(緊急ではない警察への相談全般。かけた地域の警察本部などの窓口につながります)
- 性犯罪被害相談電話 #8103(ハートさん。かけた地域の都道府県警察の性犯罪被害相談窓口につながります)
- 法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル 0120-079714(支援窓口や制度の案内、弁護士の紹介。平日9〜21時、土曜9〜17時。IP電話からは 03-6745-5601)
- 民間被害者支援団体の全国共通電話 0570-783-554(研修を受けた相談員による相談。最寄りの被害者支援センターにも直接相談できます)
01殺人は60年余りで大きく減った
殺人の認知件数は、1960年の2,648件から2024年の970件へと、大きく減りました。
令和7年版の犯罪白書で、警察が把握した殺人の件数を見てみましょう。1960年は2,648件でしたが、2024年は970件でした。この数には、未遂や予備も含まれます。
最も少なかったのは2022年の853件で、戦後最少でした。2023年からは2年続けて増えましたが、長い目で見ればかなり低い水準です。2024年の検挙率は96.6%と、安定して高くなっています。
02傷害と暴行は、減ったあとにまた増えた
けがをさせる傷害と、けがに至らない暴行は、1990年代半ばに底を打ち、2000年代に増えました。
人の体を傷つける罪を傷害と呼びます。暴力をふるっても、けがに至らなかった場合は暴行です。刑法では204条と208条に分けて定められています。
傷害は1958年の7万3,985件が最多で、1995年には1万7,482件まで減りました。暴行も1964年の4万6,965件から、1994年には6,112件まで減っています。
ところが2000年代に入ると、どちらも増えました。2024年は傷害が2万2,292件、暴行が2万9,250件です。暴行は1990年代半ばの約5倍になりました。
03殺人の4割余りは親族の間で起きる
2024年に検挙された殺人では、被害者が親族だったのが43.7%、面識のない人は14.5%でした。
たとえば通り魔のニュースが続くと、殺人は知らない人に襲われるものだと感じがちです。2024年に検挙された殺人861件を見ると、被害者は親族が376件(43.7%)、知人などが40.8%でした。面識のない人は14.5%で、約7件に1件です。
傷害と暴行でも、親族が被害者の割合は大きく変わりました。1997年は傷害で4.5%、暴行で1.3%でした。2024年は傷害で24.0%、暴行で27.7%です。
この変化は、家の中の暴力に社会が向き合い始めた時期と重なります。2001年に配偶者暴力防止法ができ、2024年に警察が受けた配偶者などからの暴力の相談等は9万4,937件で、法の施行以降最多でした。暴力そのものが増えたのか、届け出と対応が進んだのかは、この統計だけでは分けられません。
| 罪名 | 1960年 | 1995年 | 2024年 | 被害者が親族(2024年) |
|---|---|---|---|---|
| 殺人 | 2,648件 | 1,281件 | 970件 | 43.7% |
| 傷害 | 6万8,304件 | 1万7,482件 | 2万2,292件 | 24.0% |
| 暴行 | 4万4,250件 | 6,190件 | 2万9,250件 | 27.7% |
あなたの場合は?
あなたが「最近は物騒になった」と感じたとき、その印象はどんなニュースや出来事から来ていますか?
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- 殺人の認知件数は1960年の2,648件から2024年は970件へ。長い目で見て大きく減った
- 傷害・暴行は1990年代半ばに底を打ち、2000年代に増えた。暴行は約5倍
- 殺人の4割余りは親族の間。面識のない人からは約7件に1件
TERMSこのレッスンの用語
人の体を傷つける罪。けがをさせた場合に当たる(刑法204条)。
暴力をふるったが、相手がけがに至らなかった場合の罪(刑法208条)。
配偶者などからの暴力を防ぎ、被害者を守るための法律。2001年に成立した。
LESSON 12-2 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. 2024年に検挙された殺人で、被害者と加害者の関係として最も多かったのはどれでしょう?
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正解: 2. 親族
親族が43.7%で最も多く、面識のない人は14.5%でした。ここがポイントで、殺人の多くは身近な関係の中で起きています。
Q2. 傷害と暴行の違いとして正しいものはどれでしょう?
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正解: 1. 傷害は人にけがをさせた罪、暴行はけがに至らなかった罪
違いは、けがをさせたかどうかです。刑法では傷害が204条、暴行が208条に定められています。場所や年齢で分けているわけではありません。
Q3. 友人が「殺人は、知らない人に突然襲われるものがほとんどだ」と話しています。データにもとづく返事として最も近いものはどれでしょう?
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正解: 2. 見知らぬ人からは約7件に1件で、親族や知人の間のほうがずっと多い
惜しい直感ですが、目立つ事件ほど強く記憶に残ります。2024年の統計では、面識のない人による殺人は14.5%で、親族と知人で8割以上でした。
出典(7件)
- 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第1編第1章第2節5「その他の刑法犯」(殺人・暴行の動向)
- 法務省『令和7年版 犯罪白書』資料1-2「刑法犯 認知件数・検挙件数・検挙人員(罪名別)」(1946〜2024年、Excel)
- 法務省『令和7年版 犯罪白書』第6編第1章第5節「被害者と被疑者の関係」(6-1-5-1図)
- 法務省『令和7年版 犯罪白書』凡例(殺人に未遂・予備を含むこと)
- 警察庁『令和7年版 警察白書』第2章第1節2「人身安全関連事案の現状と対策」
- e-Gov法令検索「刑法」(199条・204条・208条)
- e-Gov法令検索「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(平成13年法律第31号)