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第12章 犯罪の種類を知る ・ レッスン12-5

サイバー犯罪。新しい犯罪をどう数えるか

約5分 ・ 公開日 2026-10-05

このレッスンの問い

ネットで悪口を書かれるなどの被害に遭った人のうち、警察などに届けるのは何割くらいだと思いますか?

読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。

前のレッスンの復習(1問)

本文に入る前に、前のレッスンを思い出してみましょう。

レッスン12-4から

Q1. 前のレッスンの復習です。中高年を4年間追いかけた研究で、詐欺の被害に遭いやすかったのはどんな人だったでしょう?

答えを見る

正解: 2. 強い気分の落ち込みがあり、人とのつながりが満たされていない人
年齢の高さそのものではなく、落ち込みとつながりの不足が重なった人で、新たな被害が2倍を超えていました。

被害に遭ったときの相談先

この講座は学習用で、個別の相談の代わりにはなりません。被害に遭ったときは、一人で抱え込まずに公的な相談窓口を利用できます。いま危険が迫っているときは110番に通報してください。

出典: 警察庁「支援一覧」、法テラス「お電話でのお問合せ(法テラス・サポートダイヤル)」

01サイバー犯罪は3つに分けて数える

警察の統計では、サイバー犯罪を不正アクセス禁止法違反、コンピュータ・電磁的記録対象犯罪、その他の3つに分けて数えます。

サイバー犯罪とは、コンピュータやインターネットを使った犯罪、またはコンピュータそのものを狙う犯罪です。警察庁と犯罪白書は、これを3つに分けて数えています。

1つめは、他人のIDやパスワードを無断で使うことなどを禁じた不正アクセス禁止法の違反です。2つめは、コンピュータやデータそのものを狙う刑法の罪で、コンピュータ・電磁的記録対象犯罪と呼びます。

3つめは、詐欺や脅迫など昔からある犯罪のうち、インターネットが実行に欠かせないものです。統計では「その他」とされ、ネットワーク利用犯罪とも呼ばれます。

022025年の検挙件数は過去最高

警察庁によると、2025年のサイバー犯罪の検挙件数は1万5,108件で、過去最高でした。

警察庁が2026年3月に公表した報告書によると、2025年(令和7年)の検挙件数は1万5,108件でした。2024年の1万3,164件から増え、過去最高となりました。

内訳では、約9割の1万3,424件が「その他」、つまりネットを手段にした犯罪です。まったく新しい犯罪というより、昔からある犯罪の舞台がネットに広がっていると読めます。

被害の大きさを示す数字もあります。2025年のインターネットバンキングの不正送金は4,747件、被害総額は約103億9,700万円でした。企業などからのランサムウェアの被害報告は226件ありました。

03数字に表れにくい3つの理由

サイバー犯罪は、検挙件数が起きた数ではないこと、届けられにくいこと、数え方が追いつきにくいことから、実態より小さく見えやすい犯罪です。

第1に、検挙件数は警察が検挙した事件の数で、起きた件数ではありません。警察に知られていない被害は、この数に入りません。

第2に、届けられにくい被害が多いことです。2024年の法務総合研究所の暗数調査では、ネット上で中傷などを受けた人の約97%が捜査機関に届けていませんでした。届けなかった理由で最も多いのは「それほど重大ではない」でした。

たとえばSNSで心ない書き込みをされても、「よくあること」と思って誰にも言わない人は多いでしょう。そうした被害は、統計には残りません。

第3に、新しい被害は、数える項目に入るまで見えません。暗数調査も第6回で、ネット上での中傷を新しく調べる対象に加え、インターネットオークション詐欺を外しました。

分類おもな中身2025年の検挙件数
不正アクセス禁止法違反他人のIDやパスワードを無断で使う行為など431件
コンピュータ・電磁的記録対象犯罪コンピュータやデータを狙う刑法の罪(電子計算機使用詐欺など)1,253件
その他(ネットワーク利用犯罪)詐欺・脅迫などのうち、ネットが実行に欠かせないもの1万3,424件
合計—1万5,108件(過去最高)
サイバー犯罪の3つの分類と2025年の検挙件数(警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」より)

あなたの場合は?

もしネットで嫌な思いをしたら、あなたは誰かに相談しますか?相談しないとしたら、その理由は何でしょう。

答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。

覚えるのはこの3つ

  1. サイバー犯罪は3分類。不正アクセス・コンピュータを狙う罪・ネットを手段にした犯罪
  2. 2025年の検挙件数は1万5,108件で過去最高。約9割はネットを手段にした犯罪
  3. 検挙件数は起きた数ではない。届けられにくく、統計は実態より小さく出やすい

TERMSこのレッスンの用語

不正アクセス禁止法Act on Prohibition of Unauthorized Computer Access

他人のIDやパスワードを無断で使ってコンピュータを利用する不正アクセス行為などを禁じる法律。1999年に制定。

コンピュータ・電磁的記録対象犯罪Crimes targeting computers and electromagnetic records

コンピュータやデータそのものを狙う刑法の罪。電子計算機使用詐欺、電子計算機損壊等業務妨害などを含む。

ランサムウェアRansomware

端末などのデータを暗号化して使えなくし、元に戻す対価として金銭などを求める不正なプログラム。

LESSON 12-5 の確認

確認問題(全3問)

本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。

Q1. 警察の統計で、2025年のサイバー犯罪の検挙件数のうち最も多かった分類はどれでしょう?

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正解: 3. 詐欺などネットを手段にした犯罪(その他)
約9割の1万3,424件が「その他」、つまりネットを手段にした犯罪でした。不正アクセス禁止法違反は431件、コンピュータ・電磁的記録対象犯罪は1,253件です。

Q2. 「サイバー犯罪の検挙件数が過去最高」というニュースの読み方として、正しいものはどれでしょう?

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正解: 2. 警察が検挙した数が過去最高で、起きた数そのものではない
ここがポイントです。検挙件数は警察が検挙した事件の数です。届けられない被害や、検挙に至らない事件はこの数に入りません。

日常の場面で考える

Q3. 友人が「SNSでひどいことを書かれたけど、大したことじゃないから」と言っています。このレッスンからわかることはどれでしょう?

答えを見る

正解: 1. 届け出ない被害は、統計の数字に表れない
惜しい選択肢もありますが、届け出ない被害は統計に残らないだけで、起きていないわけではありません。届けるかどうかは本人が決めることで、落ち度ではありません。

レッスン12-5はここまでです

迷った問題は、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。間違えた問題は復習ページに自動で入ります。

第12章 犯罪の種類を知る のレッスン一覧
  1. 12-1窃盗の動向
  2. 12-2暴力犯罪の動向
  3. 12-3性犯罪。法改正と暗数
  4. 12-4特殊詐欺
  5. 12-5サイバー犯罪

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出典(6件)
  1. 警察庁サイバー警察局「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2026年3月)
  2. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第4編第5章第1節「サイバー犯罪 概説」
  3. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第4編第5章第3節「その他のサイバー犯罪」
  4. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第7編第4章第1節2「調査対象犯罪被害・調査回答者等」
  5. 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第7編第4章第2節3「第6回新規調査(インターネット上での誹謗・中傷・個人情報の流布)」
  6. 不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)(e-Gov法令検索)