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第12章 犯罪の種類を知る ・ レッスン12-1窃盗などの財産犯。最も多い犯罪の動向
約5分 ・ 公開日 2026-10-05
このレッスンの問い
日本で警察が知る犯罪のうち、いちばん多いのは何だと思いますか?全体の何割くらいでしょう?
読む前に、答えを少しだけ予想してみてください。当たっていなくても大丈夫です。
被害に遭ったときの相談先
この講座は学習用で、個別の相談の代わりにはなりません。被害に遭ったときは、一人で抱え込まずに公的な相談窓口を利用できます。いま危険が迫っているときは110番に通報してください。
- 警察相談専用電話 #9110(緊急ではない警察への相談全般。かけた地域の警察本部などの窓口につながります)
- 性犯罪被害相談電話 #8103(ハートさん。かけた地域の都道府県警察の性犯罪被害相談窓口につながります)
- 法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル 0120-079714(支援窓口や制度の案内、弁護士の紹介。平日9〜21時、土曜9〜17時。IP電話からは 03-6745-5601)
- 民間被害者支援団体の全国共通電話 0570-783-554(研修を受けた相談員による相談。最寄りの被害者支援センターにも直接相談できます)
01刑法犯の約7割は窃盗
2024年の刑法犯の認知件数73万7,679件のうち、約7割の50万1,507件が窃盗でした。
刑法235条は、他人の物を盗むことを窃盗の罪と定めています。刑は10年以下の拘禁刑か、50万円以下の罰金です。お金や物をねらう犯罪のなかで、いちばん多いのが窃盗です。
犯罪白書は窃盗を、建物に入って盗む侵入窃盗、自転車や車などの乗り物盗、それ以外の非侵入窃盗に分けて数えます。2024年は非侵入窃盗が53%、乗り物盗が38%、侵入窃盗が9%でした。
手口別では自転車盗が34.7%、万引きが19.6%で、この2つで窃盗の半分を超えます。家族や知人から「自転車を盗まれた」と聞くことは多いですよね。数の上でも、身近な被害がいちばん多いのです。
022002年から約5分の1に減った
窃盗の認知件数は2002年の237万7,488件が戦後最多で、2024年はその約5分の1でした。
令和7年版の犯罪白書によると、窃盗は2003年から減り始めました。2014年から2021年までは、毎年戦後最少を更新しています。
減り方は態様によって違い、侵入窃盗は約8分の1、乗り物盗は約4分の1になりました。2024年の検挙率は侵入窃盗が57.8%、乗り物盗は8.6%でした。
ただし2022年から3年続けて増え、自転車盗は3年、万引きは2年続けて増えました。それでも2024年は、新型コロナが広がる前の2019年(53万2,565件)より少ない水準です。
銅線などの金属をねらう金属盗は、2024年に2万701件と前年より27.2%増えました。2025年6月には、盗まれた金属の処分を防ぐための法律が成立しています。
| 態様 | 2002年 | 2024年 | 減り方 | 2024年の検挙率 |
|---|---|---|---|---|
| 侵入窃盗 | 33万8,294件 | 4万3,036件 | 約8分の1 | 57.8% |
| 乗り物盗 | 77万5,435件 | 19万1,741件 | 約4分の1 | 8.6% |
| 非侵入窃盗 | 126万3,759件 | 26万6,730件 | 約5分の1 | 46.7% |
| 窃盗の合計 | 237万7,488件 | 50万1,507件 | 約5分の1 | 33.1% |
03なぜ減ったのか。研究の手がかり
海外の研究は、車の盗難が大きく減った主な理由を、車の防犯装置が広まったことだと結論づけています。
窃盗の大きな減少は、日本だけのことではありません。イングランドとウェールズでは、1995年から2007年に車の盗難が65%減りました。
ファレルらは2011年の論文で、その主な理由を車の防犯装置の普及だとしました。電子式のイモビライザーと集中ドアロックが、特に効いたと結論づけています。
オーストラリアでは2001年、全国の新車に一定の品質のイモビライザーを付けることが求められました。車の盗難は2001年から急に減り、2007年までに55%減っています。守りの量と質の向上が犯罪を減らしたというこの考えを、セキュリティ仮説と呼びます。
日本の自動車盗も、2002年の6万2,673件から2024年は6,080件へ、約10分の1になりました。ただ、日本の窃盗がなぜここまで減ったのかは、まだはっきりしていません。
あなたの場合は?
あなたの周りで聞く盗みの被害は、侵入窃盗・乗り物盗・非侵入窃盗のどれが多いでしょうか?統計の割合と比べてみましょう。
答えを書く必要はありません。少し思い浮かべるだけで、記憶に残りやすくなります。
覚えるのはこの3つ
- 刑法犯の約7割は窃盗。自転車盗と万引きで窃盗の半分を超える
- 窃盗は2002年の約238万件が最多。2024年は約50万件で約5分の1
- 車の防犯装置の普及で車の盗難が減った(セキュリティ仮説)
TERMSこのレッスンの用語
住宅や、事務所・店舗など住宅以外の建物に侵入して金品を盗む窃盗。
自転車盗・オートバイ盗・自動車盗をまとめた、犯罪白書の窃盗の分け方の1つ。
防犯の量と質が高まったことが、1990年代以降の各国の犯罪の大きな減少の主な理由だとする考え。
LESSON 12-1 の確認
確認問題(全3問)
本文を見ずに答えてみましょう。思い出そうとすることが、いちばんの復習になります。
Q1. 2024年の刑法犯の認知件数のうち、窃盗が占める割合に最も近いのはどれでしょう?
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正解: 3. 約7割
73万7,679件のうち50万1,507件が窃盗で、約7割です。数の多い窃盗の動きが、刑法犯全体の数字を大きく左右します。
Q2. 2002年と2024年を比べて、認知件数の減り方が最も大きかった窃盗の態様はどれでしょう?
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正解: 1. 侵入窃盗
侵入窃盗は33万8,294件から4万3,036件へ、約8分の1になりました。乗り物盗は約4分の1、非侵入窃盗は約5分の1です。
Q3. 友人が「窃盗は3年連続で増えている。今は昔より盗みが多い時代だ」と言いました。データにいちばん合う返し方はどれでしょう?
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正解: 2. 増えてはいるが、2002年の約5分の1で、2019年よりも少ない
惜しい選択肢もありますが、ここがポイントです。2022年から増えたのは事実です。ただ2024年は2002年の約5分の1で、コロナ前の2019年よりも少ない水準でした。
出典(7件)
- 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第1編第1章第2節「主な刑法犯」(1-1-2-1図)
- 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第1編第1章第2節1「窃盗」
- 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』窃盗 認知件数の手口別データ(1973〜2024年、Excel)
- 法務省 法務総合研究所『令和7年版 犯罪白書』第1編第1章第1節1「認知件数と発生率」
- 鳥取県「用語解説」(とりネット)(侵入窃盗・乗り物盗・非侵入窃盗の定義)
- 刑法(明治40年法律第45号)第235条(e-Gov法令検索)
- Farrell G., Tilley N., Tseloni A., Mailley J.「The crime drop and the security hypothesis」Journal of Research in Crime and Delinquency 48(2), 2011(Nottingham Trent University リポジトリ)